福岡で偶然入ったお店「イルフェソワフ」さんで出していただいた ヴェッキオ・サンペーリ・ペルペトゥオ 。シェリーも大好きな私のどストライクでした。
イタリア・シチリア島の伝統的なマルサラワイン。その中でも唯一無二の存在感を放つのが、デ・バルトリ(De Bartoli)の「ヴェッキオ・サンペーリ・ペルペトゥオ(Vecchio Samperi Perpetuo)」です。この記事では、その歴史、製法、味わい、魅力について深く掘り下げてご紹介します。
※本記事で紹介しているのは、「Vecchio Samperi」の中でも正式名称としてラベルに「Perpetuo」と記載されたボトルです。
この“ペルペトゥオ”とは、ワインの熟成方法である“永続的(Perpetual)なソレラ方式”を意味し、伝統への敬意と製法へのこだわりを強調する名称です。スタイルや味わいは通常のヴェッキオ・サンペーリと本質的に同一です。
1. デ・バルトリとは?
シチリアに根差した革新的なワイナリー
デ・バルトリ(De Bartoli)は、1978年にマルコ・デ・バルトリ(Marco De Bartoli)によって設立されました。彼はかつてレースドライバーとして活躍していましたが、家族のブドウ畑を引き継ぎ、シチリア西部・マルサラにワイナリーを構えました。
当時のマルサラワインは、大量生産と品質の低下が問題となっていました。そんな中、マルコは本来の伝統製法を復活させることに情熱を注ぎ、失われかけていた本物のマルサラを甦らせたのです。
自然農法と伝統へのこだわり
デ・バルトリは、自然農法(オーガニック)を採用し、化学肥料や農薬を使わず、手作業でブドウを栽培しています。また、ワインの醸造においても天然酵母の使用や無ろ過、長期熟成など、自然なアプローチにこだわっています。
2. ヴェッキオ・サンペーリ・ペルペトゥオとは?
強化されていない、本来のマルサラ
「ヴェッキオ・サンペーリ・ペルペトゥオ」は、マルサラの伝統的製法を再現したワインですが、現代のマルサラワインとは決定的に異なる点があります。それは、アルコール添加(酒精強化)をしていないことです。
現行のマルサラは、ブドウ果汁にブランデーなどのアルコールを添加して発酵を止める「酒精強化ワイン」ですが、「ヴェッキオ・サンペーリ・ペルペトゥオ」は、自然な発酵のみで仕上げられます。これにより、より繊細で複雑な味わいが生まれます。
ソレラシステム(ペルペトゥオ方式)による長期熟成
このワインは、「ソレラ方式(=ペルペトゥオ方式)」という独特な熟成方法によって10年以上にわたり熟成されます。これは、異なる年のワインを少しずつブレンドしながら熟成させていく手法で、古いワインの複雑さと新しいワインのフレッシュさが見事に融合します。
“Perpetuo”という言葉は、ただの熟成方法を示すだけでなく、「終わりのない伝統」「永続的な価値」を表す象徴的な意味も持っています。
3. 味わいと特徴
外観・香り・味
- 色合い:琥珀色から濃いマホガニー色まで。長期熟成による深い色合い。
- 香り:干しイチジク、ヘーゼルナッツ、キャラメル、シナモンなど。芳醇で複雑なアロマ。
- 味わい:甘さは控えめで、ナッツやスパイスのような旨味。酸と塩味がバランスよく調和。
おすすめのペアリング
- チーズ:熟成パルミジャーノ、ペコリーノ、ブルーチーズなど
- ナッツ・ドライフルーツ:アーモンド、クルミ、ドライアプリコット
- 熟成肉・シャルキュトリ:生ハム、サラミ、鴨のスモーク
また、食後に単体で飲むのはもちろん、チョコレートやタルトなどのデザートにも合います。
4. 飲み手を魅了する理由
食中・食後どちらでも楽しめる万能性
「ヴェッキオ・サンペーリ・ペルペトゥオ」は、通常の甘いデザートワインとは異なり、食事の流れの中でも自然に楽しめるバランスを持っています。前菜からメイン、チーズ、そしてデザートまで幅広くマッチします。
ワイン愛好家が絶賛する理由
- ナチュラルワインの価値観に合致
- 他に類を見ない味わい
- ブラインドテイスティングで驚かれるほどの個性
ソムリエやワイン評論家たちの間でも高く評価されており、世界中のレストランのワインリストに名を連ねています。
世界の評価・受賞歴
- Vinous、Wine Advocate などの専門誌で高得点
- イタリア国内のスローワイン運動でも高く評価
5. まとめ:ヴェッキオ・サンペーリ・ペルペトゥオが語る本物のマルサラ
デ・バルトリの「ヴェッキオ・サンペーリ・ペルペトゥオ」は、ただのワインではありません。それは、失われた伝統と職人の魂が詰まった芸術品です。初めて飲んだ人の多くが、「こんなマルサラがあるのか」と驚き、その味わいの深さに惚れ込んでしまいます。
イタリアワインの奥深さ、マルサラの真の魅力を知るうえで、「ヴェッキオ・サンペーリ・ペルペトゥオ」は最適な一本と言えるでしょう。
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